十月

   おびえてはいない眸として克ちたがる


   身に覚えある風景でまとまるか


   かばいゆく身のほどなれや落葉道


   もろく敗れし時の間を稼ぐという


   誰に明かそうとするひとり寝に縋り


   その想いの頂きに佇つ安らぎか


   高官の疑わしきは秋に堕とし


   灰色の名の冠がはまる首


   物狂う世に黒きを増し鴉たち


   衝てという声のまっすぐなるつぶて