九月 

   たかが孫の絵に支えられ倚らしめる


   すがるものあるかたかだかと秋が来た


   論評とのへだたりにいて爪立たせ


   鳥音に目を覚まそうとする小さな安堵


   はじらいのかなしくも身をかばってた


   首筋のこのいじらしく振り向かれ


   足音もひそか寝にゆくここの果て


   昔よみがえるばかりいま物を忘れ


   何か声のすがしさを待つ老いのいとま


   行き着いたあたりひっそりと生きている