六月

   横たわり仮りの姿に思い過ぎ


   老いを知るというたしかな口惜しさ


   生き儲けの顔ながら月を見ていて


   首なし地蔵遠き想いは同じとか


   すげ替えの地蔵の首は少しかしげ


   つつしみに耐えるうなじはほんとだな


   早き目覚めのおかしさに支えられ


   もろもろの夢淡き忘れてよしや


   ひとの生きかたにふれ合えて酔いを覚まし


   好意を返してくれる間のよさにもたれ