五月

   眼の前にひとつの事実息をこらし


   買い控え暮らしの穴に眼を据えて


   客車にビラ貼り廻し間引き馴らしてく


   攻防の決着シラけ読まされる


   舞台裏ものの見方がゆがめられ


   ときに愛想笑いの生きざまの逞しく


   世渡りの掌のうら見せずうなずくか


   誰ででもないという自分いまぞ見廻し


   世間の鬼に取りまかれせりふのひとつも


   かかる道草酔いの底見えてもいい