三月

   野に下るかの頬冠りまだ取らず


   華やかに去ったのでない指ざされ


   前首相らしい貫禄とも言わず


   泣き泣きも狸寝入りをゆり起し


   収税の大と小とが耳打ちし


   賑やかに新聞ダネの春が来た


   一介の庶民に落ちて節聞かず


   してやった満足感がわびしいな


   ガタの来た新幹線で目覚めさせ


   日本列島無音車がゆく夢を見し