十月

   すげかえの出来ない顔がちょこなんと


   悔い少しある盃のちいささよ


   つぎ足しの夢のかなしみひとり笑う


   こたえにはならず振り向いてくれる


   ものはためしの美しい嘘を飾って


   貰い泣きした世の風のいたみなど


   酔いのすべてがこんなにもひろがった


   高度成長みかぎられうやうやし


   人国記遍歴の名をほしいまま


   きびしき世泳ぐもたげた顔やよし