1973-06-01 六月 月々の句 殺伐をかいくぐりほんとうの顔 元をただせば隻腕に流れ足らぬ血 人知れず眼鏡の老いに尽きている みな笑い暮らしの底をかいま見し 蝉短きをうたいわれよ生くべしと 下手に振る舞うまっすぐな顔に逢い どこ押してみずからの蓋さがすのか 耳痛がってのがれ得ぬ過去すこし 赤の他人のすげなさを置いて来た もろく潰えた果ての風残るとき