六月

   殺伐をかいくぐりほんとうの顔


   元をただせば隻腕に流れ足らぬ血


   人知れず眼鏡の老いに尽きている


   みな笑い暮らしの底をかいま見し


   蝉短きをうたいわれよ生くべしと


   下手に振る舞うまっすぐな顔に逢い


   どこ押してみずからの蓋さがすのか


   耳痛がってのがれ得ぬ過去すこし


   赤の他人のすげなさを置いて来た


   もろく潰えた果ての風残るとき