五月

   稚くて荒々しくも目覚めさせ


   文撰の指で濡れゆく白と黒


   狂わしき世の淵で見せびらかす乳房


   勝ち誇るおんなにやがてめぐり来る


   相手の落ち目にわが過去もかぶさった


   なつかしがるだけでべったり坐り


   いと易く言ってのけ何かさびしや


   人に誇るでもなくわが道にツンとする


   しみじみとよごれた顔も洗う真昼


   思い出し笑いもならず生きて来た