十一月

   何故か齢を考える枕洗って


   人形の目が生きてにごれるわれに触れ


   届かぬ夢でよし山は雪ひろがらせ


   もろい野望の底に息付く髭不精


   黙って坐って見ておちつくものならば


   あやかってゆく卑屈それをのぞかせ


   ついてくる人の歩みに応えねば


   笑いのかげにいでたちが背をくらべ


   寝もやらぬ悩みほどには行き着かず


   遥かな時を見通しならず臍かくす