十月

   罪がすりぬけて凱歌聞こえてくる


   みんないい人というその看板で


   黙らせた過去のおぎない濡れた掌に


   人知れぬさびしさ隠す齢なのか


   みんな忘れていいものかちょこなんと坐る


   とどまることを知らぬ振り風動く


   自分を知った酔いのなかでのたうち


   傷つけられた静かな自分を抱こうか


   身の程をそこで拾って戻るなり


   遠くで見て貰ってもいいまっすぐ歩く