1972-06-01 六月 月々の句 生きた言葉が返ってくる目を覚ます みんな他人と思った日枕よごれて 求めゆくものありて誰も話さず 一介の町人といういまも哀しや 男の腕もまたやわらかく生きにあえぎ 肌のあとのおかしさを噛み老いの坂 いたずらな眸が生半可暑い夏 黙っててほしいむなしさだけ流れ 果てのむこうを読もうとするはしたなや ぽっかり浮んだ雲その時聞かず