十一月

   一個の玩具が土の匂いを教えるか


   こせこせと日記にゆだねてゆく卑怯


   隊商がつづく名もなき星落ちず


   黙りかけて起つや味方をねめまわし


   昔ひきもどしとぼけて疣をいじる


   なぜか静かな道がある腰を下ろし


   一心に逃げる世俗でけつまずき


   時が大人にさせポルノ出歩く


   人間のかなしいときのうたをうたう


   憎い世に触れ生きてやるひとつの意地