九月

   老いの夢のたじろぐ壁がやわらかし


   身づくろいして隙だらけ近づかせ


   むかしの道に月の歩を見つけ出す


   黙ってついてゆく外ならぬ人


   はなやかに消える花火と連れ添って


   もの欲しげなる明るさが取り得なり


   風当たり遠く見守る顔を覚え


   わが影を拾うせつなき息使い


   国も肩いからしスイッチ押したがる


   自分の国をいやしんで他国論評