七月

   越ゆべきをふりかえる気にふれてやる


   向日葵の黄にさからわずいそしむ身


   いたわりの言葉さもしくよぎるなり


   赤の凛烈さかしらに時を仰がせ


   涙ぐむはしたなさ持って生まれて


   目覚めては老いの恥らい沈めてむ


   身に覚えあるくりごとの闘いよ


   そこで人間の顔があるいたずらに


   近道をせめて黙って虫を聴く


   追い戻すすべなし星をちりばませ