三月

   かたい蒲団に落ち込めず明日へ行くか


   妻のヌードにおちぶれた思い過ぐ


   夢があったとしても動かない構図


   眼鏡拭く寝床まっすぐな道だ


   酔いのかなしみをとらえひとりたり


   デモの声を街に許してわが暮らし


   革新の魅力ではない届かぬ手


   涙目の犬に抜かれて茜空


   誰も苦しみは口にせず晴れるがいい


   枕が置かれ黙って夜の虹を見にゆく