1970-09-01 九月 月々の句 一浴の安堵を憎しとも思い 濡れていささかな人情にふれて戻り 言葉を押さえようとしない首の重さ 聞いたふうなせりふそちらも生きてゆく 弁舌のかげで傷つく人をえがき 齢をみな持ち立ちどまりまばたかず 物価高の波にもたげた顔のふれ合い ひそかな酔いのなか自分を抱いて 控え目の対話のうちに生まれ生まれ 眼鏡を拭くもどかしさ落ちてはならず