八月

   またたいてくれるいのちに応えつつ


   原稿料家族の贅を埋めてやる


   かきたてる灯のきびしさにある願い


   道のりを聞かずあたたかそうな石


   目覚めふと妻の寝息に触れてゆく


   うきあがる言葉のぞかれまいとして


   静かなまなざしがある黙っていよう


   握り飯頬張る老いのたしかさよ


   秋はすぐそこにきらめく想いとし


   打てば響かんとおのれを見廻し