六月

   こともなげに造花の美しさは余り


   ほんものとにせものが触れ合う言葉


   裸が歩いてゆくくずれそうもない


   肌の疲れを思いやる老いの陽だ


   青春讃歌むらがる藪蚊叩くなり


   かさかさと音し手を置く長い旅


   糧をぶらさげてゆくほんとうの話


   時計は居眠らず反対も叫ばない


   なつかしい顔息づまる世と思い


   頑くなに負けたがらぬ顔が看板