四月

   パッと咲く花に余生を見て貰う


   孫がある顔して語り合いながら


   愚かしくやっと行き着く道とする


   春の宵きめた話を持って来た


   孫が病む寝にくい闇を手さぐりに


   よくなった孫のぬくみが歩くとき


   哀調に酔いのこころがふるえるよ


   傷つく日枕のよごれ明日洗う


   ひとすじの煙り小憎く静かなれ


   おそすぎた春を惜しむか髭を剃り