三月

   人は夢の甘さにふれる哀しとも


   傷つくまいとする多弁とりまかれ


   もとめゆくこころの底をたたく雨


   果てをとらえ得ぬままうしろ姿よ


   何分のはからい遠く近くの風


   一片の花びら誰を追い求め


   胸にひろがる美しきそがいのち


   値上りの怒濤にひとは枕して


   行き着くところに自分があるおちつくか


   蒲団敷くただ何事もなきがごと