五月

なだらかな道はこころの隅に置く

物情騒然と弱き身にくりかえし

しかはあれどめくるめく日を避けも得で

ひとの憂いがわかつて来て藤垂れ下がり

決断を迫られ物欲しげなる眉よ

緑濃し別れのにがさとは別に

叱つてくれるものがない酒ひとり

野の仏持ち運ばれた同じ貌

静かな闘いといういのちをゆだね

うとましく齢に気付こうとするか