十月

朝の鐘寝足らぬ夢をまた拾う

残党の焚火ひとりは女を想い

蒼い湖死の美しさ少女は唾る

英雄は死す大いなる炎たり

血の気のない尻尾でじやらし飯にありつき

妻の名を忘れてはいずしかと書く

過去拭いてきらめくものを求めずに

ままならぬ思い落葉の音にこそ

みちくさを食うこの石の陽のぬくさ

こころ凝めて菊たち山の雪を呼ぶよ