八月

許し合う道こそ選びひとりずつ

語らいをまかせ寝にゆくわびしさが

眼鏡拭く齢のたそがれよかれしと

物想う腹這い夕陽残るなり

月と歩む人の弱さを抱かされ

つつましく遠くの山も応えたり

物言わぬ犬のねぐらの屋根の雨

果し得ぬわざそこそこに眠りゆく

ことわざの古さが痛く夢のなか

よこたわる山々の顔きびしくも