七月

蚊帳の中きちんと心休ませて

押して押してなおのがれ得ぬ汗を拭く

酔い少し残る月光ひとりの死

時に呑まれまいと髭剃るいとま

政治のいたずらをよそながら眺めやる

人の名のそれぞれに生きをあかし

濡れてゆく女こだわりのこす夜話

ひと去るとき短かい言葉で足り

山恋いの男ひとりの道とせむ

過去拭いて夢ただならず子に継ぐか