三月

【17頁掲載】
告白の痛み黒髪くしけずり

うまい物が並べられ小さくなつてゆく

眺めにもならぬ風景で陥ちてくひとり

ねぎらいの言葉寝に戻る不思議

中小企業の名を与えられ雨しきり

競争に従いてゆく影倒れるものか

物体に従いてゆく影倒れるものか

物体に押され見廻した世相

首飾り山に抱かれている不信

生きてゆく物音に自分を覚まし

春の夜の芽のいつしんに黙つてる