三月・四月

表情の向うで逃げ道をこしらえ

陰翳を濃くし一人の男生きる

御し難き膝と思えて笑いやむ

空白を埋めてゆく時計憎しと

腹這いてこの掌は金によごれざる

うつし世に物憂げな花咲いてやる

ほゝえみのまゝに星屑に手を出さない

盃のむかしを想う弱さなり

すつくと樹齢に並びたき心若やぎ

告げたしと風ある墓の道にすがり