十月

   あわれ男の夢結ぶよごれしか


   齢の静かな欲望も一しよに眠り


   こころを読ませ木枯が奏でてゆく


   たたかいは了らないでいい足踏みして


   気弱さにいて生きる身の酔いまわる


   子はひとり飲みこちも飲み近付きたし


   まさぐれる惑いの闇のなまぬるく


   傷をねぶりいちにちかくも暮れたがり


   胸に敷くままならぬ図の拙なきや