1965-09-01 九月 月々の句 不况知つてて無蓋貨車そぼ濡れる 秋を聞かす虫よ不况を語る貌よ 倒れてくひとりを踏まえ不况倦かず 水のどを通る不况も冷たくて あがく手にからむ不况の脂汗 ビルの鋲音に不况が遊んでた 指練れて不况の活字拾いゆく 不况逃げゆく夢が覚め顔洗う 金借りるお辞儀不况がおんぶして 同人土田貞夫君令夫人を喪う(九月二十一日) 秋草のいろ沁みて来る人の名よ