五月

   夢乾けど縋らんとする目をつぶるか


   鎖ガチヤつかせ見事に誤算読む


   名を惜しむ横顔濡れる雨のみかは


   釣りの気長さよたんぽぽ黄に染まり


   老眼鏡持たぬ気負いもさりながら


   無慾ではないほんとの底にふれさす


   子が集つて齢はきちんと胸に置く


   いくさのむごさ映像にうごめく世


   凶作を口にする事好まねど


   五月の雪のしどけなさ消えるなり