四月

   わが枕ひと日おかしきことを想え


   煙突のけむのやわらかさに黙り


   ときにたゝかいの顔となる苦しさよ


   少し老いに耐えあけくれを牽いていし


   みにくさの隅で入日にこだわつた


   春冷えのあらそう声におししずめ


   人の夢大事に聞ける齢貰う


   よごれた貌と知つていてこゝろ和むに


   造花の埃り見出しことさらわが髪よ


   つい若きを繰るはしたなさお前もか