三月

   短き闘いへ梟も目覚めて来て


   雪が思い出したように男らを見くびる


   愛の傷あとわさび顔を利かし


   人はさだめを持ち道のあかるさ


   樹々の語らいよ未来はこつちにもある


   ふれたがる噂遠くに雪を降らし


   許すことの大いさがいま酔わしめて


   長い旅こころのよごれあると言わず


   気弱さがしつとり春の雪に逢い


   早春に歩く善意を拾いながら