十二月

   雪に願いをかけるやわらかさ目にしるく


   齢をいみじくも数え雪降りしきる


   ひた走るときなく今日を目の前に


   雪音もなく去るひとの肩をとらえ


   郷土色親を語つて降る雪で


   わが夢のひとつが潰え雪一面


   負け犬のごとかぶる雪許しつゝ


   雪はかなく消える果て民話拾わせ


   死の深き意味を胸に雪降らしめよ


   道祖神ちらつく雪に旅のゆくえ