1964-11-01 十一月 月々の句 群衆が一人すましでかもし出す ブルトーザーつぶやく声を呑みたがり わたり合う腕かいくぐり巣にいそぐ 能面の静かに時をうつすかぎり 球は千金の重みで親がくわえてる 起重機に吊られ男は度胸だよ 冬の蟻はひしめく声を揃えたり わが殻を好まぬ思想が動き出す ひとの離婚が落葉のようにおしやべり シルクハツト変らぬ訛りしびらせた