十一月

   群衆が一人すましでかもし出す


   ブルトーザーつぶやく声を呑みたがり


   わたり合う腕かいくぐり巣にいそぐ


   能面の静かに時をうつすかぎり


   球は千金の重みで親がくわえてる


   起重機に吊られ男は度胸だよ


   冬の蟻はひしめく声を揃えたり


   わが殻を好まぬ思想が動き出す


   ひとの離婚が落葉のようにおしやべり


   シルクハツト変らぬ訛りしびらせた