十月

   タクト怒りをこらえて落葉目にある


   研いだ言葉に黄菊はいろを濃く


   坂いくつ人生きるとき数えない


   川風に散らさず聞かしたい嘘


   民情を尽さず消えてゆく車


   触れ合つた真実夢を描きゆく


   男ありきこころ傷つく日の酒で


   道はそこで切れ思い出を連れて来た


   肌のそとで思いがつゞる齢を負い


   気弱さにもたれ蝶タイ飛びたいか