五月

   視野にぶく糧の重さが押して来た


   遠き日や人をなだめて流れやまず


   あわれ地に伏してけものの夢あれや


   憩い持つおんなの眉の細きとか


   あらそつてみにくき赤い舌は垂れ


   遍歴の肌ならず見よ月動く


   生きてこの寓話みじかく雨降らす


   祈りにも似たり静かな雲をさがし


   一椀にくずれる影をくち惜しと