四月

   明日を持つ夜の挨拶か利く酒で


   人のこゝろを読まれ書庫に梅雨めく


   流れひそかに道をゆく男の肚


   人は夢をこそまぼろしが立ちはだかり


   悔いの夜をひそめいて春のいらだち


   道はひとすじ善意の髭も白毛すこし


   多数の声とぶつかり弱者を貰い


   なが〲と仰す真昼策ありとする


   風景が飛びこんで来た軽いめまいよ



   拾い読むものほしげななる或る時間