1963-11-01 十一月 月々の句 ちちははの齢に思いつき朝の寝覚め ハンケチのくしやくしやひと知れぬ賭 掛軸にこころの隅を見せてしまう 犬が仔を生む夜のしじま自分に来る 犬の鼻湿つてやすらぎをととのえ 人のとが見過ごし小鳥籠明るく 酒にがく氷雨は罪をあかしゆけ みにくさの向うに吹雪せよと思う 生きてこの峠に立つ遠きはじらい 人を許すあざやかさ雪あてある如く