1963-10-01 十月 月々の句 髪うすくなる安堵並んだ友と 妻を置き酔いにまぎれている卑怯 齢のなかで肌の疲れを噛んでおく 隠れ来て分別顔の子に向い 子は片付けずそれには触れず林檎むかせ 蜻蛉朱に染まり信濃をあなどらず 人並に苦労を語らんとしておかし ほころびを見やる静かなわが習い かゝわりもなし山は雪ひと稼ぐ 冬の花敗れし翳を忘れゆく