八月

   みにくい音がかすめるこの小さな善意


   よどみなく偽りの舌長く赤かれ


   くずれくるからだ静かに鎖となる


   下着ひそかに払いのけたい記憶


   背景を整え野望燃えてくる


   自分が可愛くてよごれあれど目をつぶる


   軽き疲れ悔いに似てこの齢を思え


   よごれた影をふり払い若さ走らせ


   酔えば流れる生きの間の奢りあれ


   何をかぞえようただに忘れ横たわり