六月

   しめやかに葬る人かず山へ向い


   ここに住む想いしずめて山近し


   言葉足りず山肌の蒼深まさり


   山の見える町駅辨の声をさがし


   トンネルいくつ果てある旅も嬉しかり


   電柱は山に消え生き当てるべく


   高山植物そのまま雨は頬を濡らし


   山を愛す人生もまたそこにあるか


   わさび畑水冷たくて山を恋し


   山好きな子を持ち足らぬ朝の目覚め