五月

   ひとの善意の底にある酒のしずく


   一枚の絵は強いることいま忘れ


   蝋燭の灯のゆれにさえ目を覚ます


   子が大きくわが胸うちをとらえゆく


   いたずらにこころの角をぶつつけ合う


   厨の音の正しくて子を並べ


   この闘いの向う鳥に草に名はありき


   親ちぢこまる歳にあり笑つてしまう


   尾を垂れかけ静かな道を画かせる


   寝に返るほんとの言葉それお聞き