十二月

   逝く年のうたはこころに住むという


   風を呼ぶ逝く年の瀬のかくばかり


   人の死を思うくだりに逝く年よ


   髪うすくなり記憶あたため逝く年に


   冬の花逝く年にわがあくがれよ


   人それ〲に生き逝く年の重く重く


   老いの眼に縫う妻よ逝く年もあれ


   いくばくの齢ありや逝く年のここに


   逝く年や行いすます暇もあらば


   酔えば横たう逝く年のやすらかに