十・十一月

   牛乳をあたためる枯葉も素直だよ


   思い出のきびしさがなお腹這わせ


   たくみな演技に紙幣すらも目を見張り


   きりきり舞いして男の肌を済ます


   木枯の歌だが負けてもならず


   人の死のやがて自分に戻つてくる


   女が読みとつてくれる安易な膚で


   慰めが下手盃がころんで来た


   人のまことに馴れ過ぎ星をちりばめ


   聞いた風な顔で銭の腹に触れてる