1962-09-25 九月 月々の句 むらさきのいろを匂わす記憶は垂れ 階段がいくつも記憶をからかつている やりきれぬ記憶波は白く碎けて 善き記憶のかずを読みおぼろげな凱歌 泳ぎつかれた記憶もたげては見た夢 記憶がすべつてゆくわらべうただけ残し 一本の綱がだらり記憶をだまそうとする にたにたとわらい記憶の意地悪な 大きい掌を見せ記憶真直ぐに来る 死に伏す記憶善きことをのみ收めしや