七月

   いそぐ旅ならずおちぶれも思わず


   からくれないにわがいのち念じゆく


   酔いのかなしみひとり知る時のおごり


   辞書繰つて心足らわず曲げもしない


   畜生の深からぬ寝顔にさえも


   月への旅思うわが名小さかれ


   寝酒ふくむいらだちの身のもうひとつ


   まこと至らぬ明け暮れに人の子たり


   山を求めゆくさらに心をさがすほど


   打ち水に石目を覚ます笑えざり