五月

   そこでふれることの惧れ肌のぬめり


   たちまちに傷つき合える顔もせむ


   字を並べゆく気休めよ愚かさに


   遠くでまさぐる齢の静けさをさがそ


   はがれゆくひとの痛みも想い居し


   ひとの死の底ひややかに雨を流す


   わが死を描くすつくと起ちおどろおどろ


   酔えばはしたなき語らいの火がつき


   一杯のコーヒー一杯のウイスキーいじめぬく


   さゝやかならむかかる願いを読んで来た