十二月

   たましいを磨く雪降る遠い眺め


   冬将軍をなだめてからきびし


   人の死もあれ雪はやむやすらげに


   しあわせはわが耳にこそ雪さらり


   いさかいにこだわろうとする雪少し


   思い出の向うで雪は降り積り


   爺婆を遠く眠らせいまの雪


   思想持つ降る雪ならめ群がるよ


   かの記憶より脱ぐ雪のまつしぐら


   年を越す雪わが胸に消えたがり