六月

   人を死なす山ならで山そこで応え


   聞き分けてゆく眸を拾う向うに山


   こゝにあるやすらぎなれば呟かせ


   人のふところに入るいやしさをかいま見し


   デモを見過ごしひとりの平和さびしかり


   デモに参加の子の便り隔たるか


   ひと知れずこそ祈る日を得たるなり


   朝の目覚めはせつなき想い繰り越され


   いみじくも死を語る誰も奪わず


   靴拭いて生きの闘いゆかしめる