1960-04-01 四月 月々の句 もろく美しと触れ得ぬものの前に立ち わが齢をかぞえいて山いかめしき 雨しずかに時流すすべ覚えてか 共に生きるこの溝を埋め並び給え 中年に救いの言葉散らかるよ 山ぐにに山あるたしかさと生きる 腹を減らすかたくなにこのわざに組し 黒髪は濃く遠き倖せありとする 陽にふとん干す平凡のたがわざる 裸像に降る雨の素直さ返るなり