一、二月

   消ゆるもの消ゆべしと思いしは昔


   一人去りゆく死の言葉選ばずに


   遥かなるものならでそこに息付く親しさ


   道はつゞくときに水の味深かれや


   人生きてたしかなる目をぶらさげゆく


   言訳をふくむ墨の香冬知つて


   寝に返る愚かさはあれひとりずつ


   言葉の裏に縋る気弱さが映り


   大河許すここに傷つくひとを残し


   うたさがす満ちくる潮まかすなり